硬膜外ブロックは鎮痛方法として確立した手技だが,中枢神経である脊髄の下端がL1レベルのため,胸部や頚部硬膜外腔は脊髄と接している.したがって,仙骨や腰部硬膜外腔に比べ,胸部や頚部硬膜外腔に生じる血腫や膿瘍は脊髄圧迫を起こしやすい。


脊髄神経C1からC4前枝からなる頚神経叢は頭長筋と中斜角筋に挟まれ,C5からT1前枝からなる腕神経叢は前斜角筋と中斜角筋に挟まれる。中斜角筋内に局所麻酔薬を注入すると頚神経叢と腕神経叢が同時にブロックされる。


脊髄神経T1前枝は腕神経叢に枝を送り,T2前枝は肋間上腕神経となる.T1からT11前枝は肋間神経,T12前枝は肋下神経となる。最内肋間筋と内肋間筋の間に局所麻酔薬を注入するとそのレベルの肋間神経がブロックされる。傍背椎腔内に局所麻酔薬を注入すると複数の肋間神経がブロックされる。


脊髄神経L1からL4前枝からなる腰神経叢は大腰筋内を貫通し,L5からS3前枝からなる仙骨神経叢は梨状筋の腹側を通過する。大腰筋内に局所麻酔薬を注入すると腰神経叢がブロックされ,梨状筋の腹側に局所麻酔薬を注入すると仙骨神経叢がブロックされる。


固有背筋・内側筋群は頭側では発達し,尾側では発達していない。脊髄神経の後枝内側枝も頭側のみが発達している。固有背筋・外側筋群は尾側では発達し,頭側では発達していない。脊髄神経の後枝外側枝も尾側のみが発達している。頭半棘筋内側頭内に局所麻酔薬を注入するとC2後枝内側枝である大後頭神経とC3後枝内側枝である第三後頭神経を同時にブロックされる。C4レベルで多裂筋と頭半棘筋の間に局所麻酔薬を注入すると後枝内側枝がブロックされる。L3レベルで腸肋筋内に局所麻酔薬を注入すると後枝外側枝である上殿皮神経がブロックされる。


「絶対に行わなければならない神経ブロックは一つもない」。神経ブロックによる患者の危険と利益を常に天秤にかけ,利益が上回るときだけ行う.危険性が少なく,有効な神経ブロックの方法を探していきたい。