神経系は脳と脊髄からなる中枢神経系と,脳神経と脊髄神経からなる末梢神経系からなる。脳神経は12対の末梢神経からなり,脊髄神経は8本の頚神経,12本の胸神経,5本の腰神経,5本の仙骨神経からなる。脊髄神経のうちTh2からTh12は神経叢はつくらないが,C1-4は頚神経叢,C5-Th1は腕神経叢,L1-L4は腰神経叢,L5-S3は仙骨神経叢をつくった後に末梢神経を分岐させる。


脳と脊髄からなる中枢神経は軟膜,くも膜,硬膜に包まれ,くも膜下腔内に満たされている髄液の中に浮かんでいる。この髄液内に局所麻酔薬を注入するとくも膜下麻酔となる。大後頭裂孔下縁以下で,硬膜は黄色靭帯との間に硬膜外腔をつくる。この空間に局所麻酔薬を注入すると硬膜外麻酔となる。静脈麻酔薬や吸入麻酔薬が中枢神経系に作用すると全身麻酔となる。


全身麻酔は全ての手術に利用できる。くも膜下麻酔は胸神経レベルまでで止まれば下半身麻酔として利用できるが,それ以上に麻酔レベルが上がると呼吸が停止してしまう可能性がある。硬膜外麻酔は頚部以下の手術で分節麻酔として利用できる。


神経線維は細い交感神経,中間の知覚神経,太い運動神経に分類できる。高濃度の局所麻酔薬では全ての神経繊維に,中濃度では知覚神経と交感神経に,低濃度では交感神経だけに作用するため,局所麻酔薬の濃度を調節すると分離麻酔が行える。


局所麻酔薬を神経根レベルで作用させると神経根ブロックが,神経叢レベルで作用させると神経叢ブロックが,末梢レベルで作用させると末梢神経ブロックが行える。さらに末梢神経が運動枝を分岐した後に局所麻酔薬を作用させると選択的知覚神経ブロックが行える。